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RIE MIYATA

コスチュームジュエリーの魅力と、「ミリアム ハスケル」デザイナーへのインタビュー

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こんにちは。ファッションジャーナリストの宮田理江です。

ファッションの世界で、以前にも増して、
ジュエリーが重視される傾向が強まっています。

比較的シンプルな服にも、ちょっと凝ったジュエリーを添えれば、
割と手軽に装いのトーンを変えることができます。

服のムードや本人のイメージにマッチしたジュエリーは、
着こなしの小さな主役ともなるわけです。

そういうさりげない主張のあるジュエリーを探すなら、
コスチュームジュエリーが候補になるでしょう。

欧米のセレブリティーには、コスチュームジュエリーのファンが大勢いて、
きらびやかな晴れ舞台でも、リラックスした普段着シーンでも、
彼女たちはコスチュームジュエリーを好んで身につけています。

日本でもファンが増えてきました。

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そもそもコスチュームジュエリーとは何だろうと思う人も少なくないでしょう。

実は定義の幅が広いので、使う人によって意味がややぶれるところが
ありますが、対比する言葉の「ファインジュエリー」と並べてみると、
イメージがとらえやすいかも知れません。

「ファインジュエリー」はダイヤモンドの立て爪婚約指輪に
代表されるように、宝石や貴金属でこしらえた、
素材そのものにかなりの財産価値があるジュエリーです。

「宝飾品」という日本語に近いイメージです。

それに対して、コスチュームジュエリーは一般的には
材質そのものに価値の主体があるのではなく、
デザインに主な魅力があるジュエリーを指します。

プラチナやゴールドを使うわけでも、ルビーやエメラルドを
ちりばめるわけでもないのに、装いを華やがせたり、
着こなしにニュアンスを加えたりするジュエリーです。

素材で言うと、ダイヤの代わりにクリスタルを、
天然真珠ではなく人工パールを使うといった違いがあります。

ただ、誤解してもらいたくないのは、
イミテーション(模造品)ではないという点です。

あくまでもオリジナルな創造のたまものとして作り出された
「本物」のジュエリーであって、
その美的価値はファインジュエリーに見劣りしません。

両者は上下の関係にあるのではなく、
それぞれに素材や製法、方向性の異なる、
どちらもすばらしいジュエリーなのだという事は
ぜひ誤解のないようにしてもらいたいところです。

ファンジュエリーにも素晴らしいデザインはたくさんありますが、
素材に価値があるだけに、見せ方や扱いに制約がある上、
どうしてもきらびやかな材質を前面に押し出した見た目になりがち。

社交界やレッドカーペットではうまく使いこなせても、普段の装いには
落とし込みにくく、そもそもプライスがかなりお高くなってしまいます。

一方、コスチュームジュエリーは様々なデザインの余地があり、
バリエーションが豊かなので、自分好みの装いに
マッチさせやすいという長所があります。

舞台衣装に合わせてこしらえられたところからその名前があると
言われるだけあって、凝った造りの物も珍しくなく、
いつもの着こなしに1点加えるだけで、
ムードを変えてくれる効果も期待できます。

おしゃれが上手な海外の上級者ファッショニスタが
コスチュームジュエリーを好む理由も、
そういうアレンジのしやすさにあるのでしょう。

~「MIRIAM HASKELL(ミリアム ハスケル)」~

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そのコスチュームジュエリーの世界で
別格の存在として知られるブランドが
「MIRIAM HASKELL(ミリアム ハスケル)」です。

すべての作品が手仕事の職人技から生まれる
「MIRIAM HASKELL」のコスチュームジュエリーは
世界中で蒐集(しゅうしゅう)アイテムとなっています。

その「MIRIAM HASKELL」の作品を集めた
トランクショー(受注会)が4月7日から
「ガリャルダガランテ」の各ショップで開催されます。

この受注会では「MIRIAM HASKELL」の作品の中でも
特に貴重な限定アイテムを含めて
数多くの商品が集められることになりました。

ニューヨークの本社から運び込まれる作品は数十型にものぼる見込みで、
日本でここまでの作品数がそろうことはなかなかありません。

全てがハンドメイドによる作品となり、受注会で予約してから
1~3ヶ月後に商品が手元に届くので、出来上がりを待つ時間を
心待ちにするというオーダーならではのよろこびも味わえます。

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「MIRIAM HASKELL」は1924年の創業以来、
コスチュームジュエリーのトップブランドとして知られてきました。

ファッション界や社交界で高い人気を誇った創業デザイナーの
ミリアム・ハスケル氏(1899~1981)が興したブランドで、
90年近い歴史を刻んできました。

彼女が亡くなった後も、その気高く優美なデザインは受け継がれ、
コスチュームジュエリーの代名詞的ブランドであり続けています。

エレガントでクラシカルなたたずまいが特別な存在にし、
コスチュームジュエリーというカテゴリーを
確立したブランドとすら呼べる「MIRIAM HASKELL」。

繊細なワークマンシップで仕上げられる作品は
「身につけるアート」という存在感を発揮してくれます。

1点1点、手作業でビーズやストーン、バロックパールを操って形を
整えていく職人気質の仕事ぶりが自然と奥深い表情をもたらしています。

ファインジュエリーが往々にして角張ったキリッとした姿に
整えられるのに対して、「MIRIAM HASKELL」は植物を思わせる
やわらかい曲線が特徴的で、装いとなじませやすい利点もあります。

創業デザイナー自身が社交界の花形的存在であり、
今で言うセレブリティーのような人物だったこともあってか、
どの作品にも品格やノーブル感が備わっているのも、持ち味です。

架空の植物モチーフを考案したハスケル氏の材質や
常識にとらわれないクリエーションは今見ても古びて見えないどころか、
ナチュラル志向が高まる中、かえって新しく見えるほどです。

本物の宝石・貴金属を使わないのに、むしろそれ以上にも上質に映る
人工のマテリアル作りでもハスケル氏は数々の手法を考案して
天然真珠に見劣りしないバロック真珠のような
オリジナルな素材を生み出していきました。

バロック真珠は完全な球形ではなく、でこぼこのある不ぞろいな真珠の事です。

かつては球形が上物というイメージがありましたが、ハスケル氏は
あえて形の整っていないバロックに不均一な美を見いだしたのです。

奥行きや深み、人間性を感じさせる、ぬくもり豊かなジュエリーとも映ります。

自由で大胆な発想に導かれ、コスチュームジュエリーという
カテゴリー自体を創造したハスケル氏のクリエーションは
宝石・貴金属の価値でその人の評価が決まるのではなく、
いかにおしゃれな着こなしとして服とジュエリーが一体になじんでいるか、
つまりその人のコーディネート感覚のほうが重要なのだと考える現代の
ファッション意識をとうの昔に先取りしていたとも思えます。

現在のコスチュームジュエリー作家は、パーツの面でも、製法の面でも
ハスケル氏の恩恵にあずかっていると言えるでしょう。

~デザイナーへのインタビュー~

今回は、「MIRIAM HASKELL」の現在のデザインチームに                           インタビューが実現しました。

 

■Q1、 欧米のセレブリティーには、コスチュームジュエリーのファンが大勢います。
おしゃれが上手なファッショニスタがコスチュームジュエリーを好む理由は何だとお考えになりますか?

コスチュームジュエリーは、個々の魅力を引き出す手助けをします。
それは大胆且つドラマチックな存在感を演出することもできますし、より巧妙なバランスで着用することもできます。
正しいコスチュームジュエリーのスタイリングは、衣服を予測できない、違った見せ方ができることです。

■Q2、 コスチュームジュエリーの魅力はその華やかさや繊細さにあるように思えます。
いわゆる普通のジュエリーと、コスチュームジュエリーの違いはどこにあるとお考えですか?

コスチュームジュエリーは、シンプルであり精巧でもあります。
ミリアムハスケルでは、シンプルなスタイルであっても、興味深くユニーク、正確で巧妙さを持ち合わせています。

■Q3、 コスチュームジュエリーをまだ付けたことのない日本人女性は「派手すぎる」
「ジュエリーに自分が負けてしまう」と考えがちです。彼女たちがデビューできるように、アドバイスを頂戴できないでしょうか?

実験が一番です!!臆病にならず自分でトライし、よく観察することです。
多少のリスクがあっても、新しいことにチャレンジしてみてください。自分にどのシルエットやアイデアが合うのか実験し、 
それができたら、レイヤー(重ねつけ)やミックスを試してみましょう。

■Q4、 ミリアムハスケルの作品はすべて手作業で創り出されていると聞いています。
手仕事であることやクラフツマンシップが注ぎ込まれていることは、
作品にどのような魅力や特長をもたらしているのでしょうか?

巧妙な技巧は際立っています。非常に繊細で細かい種子のパール、
ガラス、クリスタルを金銀の細線細工やユニークなメタルを使用し折縫いする元来の技術は、
今日のコレクション製作の基盤としていまでも用いられています。
86年にも及ぶミリアムハスケルの歴史やいままで発表してきたコレクションを見ればわかりますが、
技術の維持と革新はブランドの特徴でもあります。
 

■Q5、 ミリアムハスケルの作品はそれぞれに形が異なっていて、そのバリエーションに驚かされます。
このように様々なデザインを考案するには、どのようなものからインスピレーションを得ているのでしょうか?

インスピレーションはあらゆるところから得ています。
アート(芸術・美術)、ミュージック(音楽)、シアター(演劇)、コスチュームとファッションの歴史、
映画、考古学、そしておそらくインスピレーションをもたらす、もっとも豊富な資源は – 自然です!!

■Q6、 ファッションの世界で、以前にも増して、ジュエリーが重視される傾向が強まっています。
服のムードや本人のイメージにマッチした、素敵なコスチュームジュエリーを選ぶには、
どういった点に気をつければよいのでしょうか?

ジュエリーとアクセサリーはワードロープの”最後の仕上げ”です。
コスチュームジュエリーは、ユニークなアプローチと組み合わせを探検することができます。

 
■Q7、 ミリアムハスケルのコスチュームジュエリーはまるでアートのオブジェのようにその美に魅せられます。
ジュエリーは「身につけるアート」とお考えになりますか? 制作に当たって、アートを意識しますか?

YES!実際、ミリアムハスケルのデザインチームは、個々其々で活躍していているアーティストです。
私個人的には、ファッションの影響は芸術がファッションにもたらす影響と同じと考えています。

 

今回の展示・受注会は流行の移り変わりに左右されず、
長く愛着を持って身につけられる「MIRIAM HASKELL」の
コスチュームジュエリーにたくさん出会えるまたとない機会です。
ぜひその奥深い魅力に触れてみてください。

■「MIRIAM HASKELL」展示、受注会の開催店舗スケジュール

・4月7日(土)~12日(木) 表参道店
・4月14日(土)~18日(水) 丸の内店
・4月21日(土)~26日(木) ディアモール店
・4月28日(土)~5月2日(水) 神戸店・横浜ルミネ店
・5月5日(土)~9日(水) 名古屋店
・5月12日(土)~17日(木) 札幌店・福岡ソラリア店

その他詳細はこちらをご覧下さい。

http://www.gallardagalante.com/galante/#/news/2012-03-23-13-44-49

 

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