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「ガリャルダガランテ」LUMINE新宿店が新フラッグシップショップとしてリニューアルオープン

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こんにちは。ファッションジャーナリストの宮田理江です。「GALLARDAGALANTE(ガリャルダガランテ)」が新しいスタートを切りました。東京・新宿のJR新宿駅とつながっている商業ビル「LUMINE(ルミネ)1」。ここの2階に入っているガリャルダガランテが3月7日、リニューアルオープンしました。

このショップはガリャルダガランテにとって16年目の「リボーン」を象徴する存在と言えます。新フラッグシップという位置づけのショップとなるので、新たな世界観がここから発信されていくわけです。オープン日に山﨑修ディレクター自ら案内してくれたお披露目の様子を、今回は詳しくリポートしていきます。

2階のエントランスから店内へ足を踏み入れて、真っ先に驚いたのは、フロアの広さ(77.33坪)。新宿ルミネ1と言えば、有力ショップがひしめき合う激戦区として知られています。

どこのブランドもショップもスペースを欲しがるこの「一等地」に、これだけの面積を確保できたこと自体が期待の高さを証明しています。

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フロアを見渡して目につくのは、穏やかな表情を帯びたファニチャー類。とりわけ、楽器のハーブを連想させるフォルムの名作「ハープチェア」はもはやアートオブジェと呼べるたたずまい。デンマークのヨンゲン・ホヴェルスコフ(1935~2005年)の代表作です。しかも入手が難しい60年代物。低い座面はシューズのフィッティングに使いやすそう。お試しまで特別な気分に浸れます。「北欧ヴィンテージが好きな、センスのいい人のお宅」に招かれたような、ゆったりくつろげるおしゃれなホームインテリアが基本のイメージになっているそうです。

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壁を飾っている、無名アーティストのコラージュ作品は山﨑さんが蚤の市で見つけたそうです。売り場のあちこちに鎮座する置物にもヴィンテージ感が漂います。レザー張りの椅子は上質で心地よい雰囲気を印象づけます。これらのインテリアやアートピースが醸し出すタイムレスな風情は、ショップのテイストとも通じ合っています。

「serendipity(セレンディピティ)」とは、「偶然で幸せな出会い」という意味です。新宿ルミネ1のガリャルダガランテでは、この言葉をテーマに据えた、月替わりのイベントスペースが用意されました。ファッションや生活と、広い意味での「知性」のマリアージュを体験できる場です。月ごとのキーワードに沿って、興味深いキュレーションが提案されます。

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最初の月となった3月のキーワードは「BLUE」。藍染めの生地をはじめ、ガラスオブジェ、陶器、ジュエリー、ストールなど、様々な濃淡のブルーが集められています。時間が経つにつれ、徐々に色が変わっていくマロウブルーティーも振る舞われました。五感をくすぐる演出です。

青を象徴する存在のジーンズも、微妙なインディゴの濃淡があしらわれれていたり、手の込んだデニムリメークが施されてあったり。「こんなにもたくさんのカラーバリエーションがあったのか」と驚かされるような、ブルーの競演は胸の内側にまで「青」がしみ込んでくるかのようです。

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「SPICE OF LIFE」という新しいコンセプトをショップに掲げました。上質や洗練を意識しながら、型にはまりすぎない、程よく「スパイス」の利いた装いや暮らしぶりに誘います。

メインブランドの「GALLARDAGALANTE」に加えて、「GALLARDAGALANTE NAVY」「Sure feel」「The Keys to the Closet」「myporter」「FELTRINE」という5ブランドが登場したのも、これまで以上に幅広いテイストやスタイルを提案したいという気持ちからです。

全体に従来よりも「大人っぽさ」が濃くなったように映ります。抜け感や着心地を備えつつ、シンプルすぎないフォルム、丁寧なものづくり、繊細なディテールなどがさりげないおしゃれ感を寄り添わせます。奇をてらわないのに、手抜きに見えない、力みを感じさせないけれど、華やぎを忘れない――。そんなありそうでなかったテイストミックスがここにはあります。

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ショップ全体を包むのは、自然と心がほどけていくような、伸びやかでやさしい空気感です。部屋数のあまり多くない洋館ホテルにも似た静かな居心地。洋の東西を問わずに集められた品々がどこか無国籍なムードを立ちのぼらせているところにも、ガリャルダガランテらしさが薫ります。

ディスプレーのスタイリングを見ていると、「特別なふつう」という印象がわいてきます。

気負いやガンバリ感は遠ざけて、エレガントな着姿に整えつつ、どこかに小さな主張やウィットを宿すという、計算されたバランス感です。落ち着いたネイビー系パンツルックのウエストに無造作っぽくバンダナを添えるようなコーディネートにも、そのさじ加減が感じ取れます。

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随所に「和」のテイストも感じられます。エントランスの壁面を構成するウッドはまるで正倉院の校倉(あぜくら)造りのように三角形の木材を並べてあります。視線を適度にさえぎる巧みな演出です。藍染めの紬や、そば猪口風の陶器などにも、日本各地に残る、日本の伝統的な匠(たくみ)の技をリスペクトするまなざしを感じます。

ファッションだけではなく、生活全般にわたって、新たな価値観を示していることが感じ取れる空間です。それは、「こういう暮らし方も悪くないのでは」とささやきかけてくるよう。自然体の生き方をしている素敵なお宅に招かれて、のんびり長居を決め込んでしまうような風情でもあります。ヴィンテージファニチャーや北欧家具などからも、その穏やかなムードが伝わります。アートを感じさせるフロア構成そのものに、ショップコンセプトが写し込まれています。

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ファッションアイテムのセレクトでも、トレンドには目配りが利いているのに、流行を使い捨てにするのではなく、長く着て愛着をはぐくむような、服とのつきあい方を提案しています。染めた藍色が経年変化で色落ちして自然に風合いをうつろわせていくように、着こなしの軸をぶれさせず、でもシーズンごとに新しい冒険を忘れない、大人の知恵と分別を備えたおしゃれにいざなうかのようです。

デイリーと非日常、シンプルと華やぎ、ふつうと特別。一見、相反して思えるこれらをシームレスな地続きに変えるアプローチは、こなれ感や自分らしさを引き出すうえでも助けになってくれます。普段の何気ない生活に少しの「香辛料」や「薬味」を足し込むこと。それが上質な暮らしへの入口やきっかけになる予感がワクワク気分をつのらせます。ガリャルダガランテが16年かかって見つけた「新しい原点」は、みなさんのおしゃれや生活に、素敵な「スパイス」をふりかけてくれることでしょう。

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