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RIE MIYATA

新鋭デビューブランド「HERITANOVUM(ヘリテノーム)」とは? 大胆トランスフォームの魅力に迫る

こんにちは。ファッションジャーナリストの宮田理江です。
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月替わりのテーマに沿って、素敵な出会いを提案している、「GALLARDAGALANTE(ガリャルダガランテ) ルミネ新宿店」の特設コーナー「SERENDIPITY(セレンディピティ)」。4月は新鋭デザイナーの竹鼻新子(たけはな・しんこ)さんが立ち上げたブランド「HERITANOVUM(ヘリテノーム)」にフォーカスしています。実は「ヘリテノーム」は2017年春にデビューしたばかり。そんなみずみずしいブランドをセレンディピティで打ち出すのは異例の扱い。でも、それだけの理由があるのです。

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「おしゃれを楽しもう」という気分が盛り上がっています。一時のシンプル志向が過ぎ去って、この春夏に浮上しているのは、悪目立ちしない程度に意外性や華やぎを取り入れて、着姿に適度なモード感を薫らせるアレンジ。オフショルダーに代表される大胆なシルエット、ドレープやスリットのようなたおやかなディテールが春夏ルックをざわめかせています。程よく「ひねり」の利いた「ヘリテノーム」のテイストは今のおしゃれモチベーションにしっくりなじみます。

ブランド名は「HERITAGE」(遺産)と「NOVUM」(ノーム=ラテン語で「新しい」の意)をあわせた造語です。デビューコレクションとは信じられないぐらいにクリエーションがこなれていますが、トラッドをベースにしているので、「やりすぎ感」はありません。ところどころにアイキャッチーな演出が施してあるのに、モ-ド感がきつくないから、大人っぽい着こなしを好む人も試しやすいはず。「派手すぎるのは困るけれど、ちょっと変わった感じ、目新しい装いにトライしたい」という、わがままなマインドにもこたえてくれます。

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竹鼻デザイナーが得意としている技法は、本来の姿からダイナミックに変形させる「トランスフォーム」です。たとえば、こちらのプリントワンピースは、思い切って肩をさらすスタイリングとして関心を集める「肩落とし」もできる造り。デコルテ周りがゴムになっていて、程々のオフショルダーにも、控えめな肌露出にもさじ加減が利くので、好みのテイストやその日の気分次第で自在に見せ方を変えられます。1枚でそのまま着れば上品なワンピースに。モデルのようにラックの手前に掛かっているプルオーバーブラウスをワンピースの中に着ると、モードな着姿に様変わり。

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ワンピースは一般的には1枚で着て、羽織り物を添えるぐらいの味付けが普通ですが、こちらのストライプ柄のシャツワンピースをウエストインしてボトムスはスカートやワイドパンツで合わせるという、トップス風の着方が提案されています。ワンピースの布ベルトと、ボトムスの布ベルトがウエストゾーンで2段に並ぶ景色には目新しさがあります。今回は同じ生地で仕立てたボトムスも用意されていて、カッチリしすぎないセットアップとしてもまとえます。お仕事ルックやセレモニーシーンの新しい装いとしても生かせそうです。

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ケープとブラウスやシャツが一体化したようなデザインのストライプ柄トップスです。こちらも最初にご紹介したプリントワンピースのようにデコルテ周りがゴムになっているので、ラウンドネックにもオフショルダーにも整えられます。よく見ると肩の下にボタンで開け閉めできるスリットがあります。両袖のボタンを開けてみると、ブラウスの中はビスチェになっています。脇から胴回りは見えない仕組みになっていて、大人女性を安心させてくれるうれしい配慮が施されています。それでいて、腕はチラリと肌見せできるので、インテリジェンスな色香を薫らせることができるのです。

トラッドの基本アイテムであるシャツにも踏み込んだトランスフォームが加えられました。ヒップを隠すほどに着丈の長いシャツはいわゆるシャツワンピースのようでいて、どこか不思議な「ずれ感」を帯びています。メンズシャツ本来の裾カッティングを誇張ぎみに生かして、マニッシュな風味を印象づけています。こちらもレイヤードに組み込むと、適度なスパイスになるはずです。こちらのモデルのようにロングシャツの上からオンすると、モードなレイヤードが完成。スタイリング次第でガラリとムードが変わるのも魅力となっています。

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もともとガリャルダガランテは形や着映えが何種類も選べるマルチウェイが強みのひとつ。意外性の高い竹鼻デザイナーの提案はガランテの「らしさ」とも合致したわけです。1着から何パターンもの着こなしを引き出せる服はコストパフォーマンスや活躍頻度の面でお得感が高くなります。3ウェイのタイプであれば、1着で3着分以上の仕事をしてくれるわけですから、当然、出番が多くなり、着回しの腕前も上がります。

スニーカーのシューレース(靴ひも)を思わせるディテールは背中にあしらいました。背中の真ん中ゾーンへV字形の深い裂け目を入れ、その隙間をリボン風の細い布でつなぐ仕掛け。近頃は背中にドラマを宿す演出が世界的に注目を浴びています。こちらのディテールはいやらしくない「上品セクシー」を後ろ姿に漂わせてくれます。

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コレクションのキーアイテムになっているのが、こちらのジャケット。袖先はボタンで開け閉めでき、表情をワンタッチで変えられます。「開閉自在」のディテールは今回用意されたアイテムであちこちに施されています。ウエストには共布の帯風ベルトを巻きました。巻き方を変えれば、着姿のムードを操れます。無造作に巻く「ゆるめ巻き」ではリラクシングな雰囲気に。垂らした紐が動きに応じて揺れる様子は自然体の余裕を感じさせます。だらりと垂らせばさらにのどかな風情となり、コーディネートの選択肢も広くなっています。

トレンドの「肩落とし」スタイルもこちらのジャケットなら楽々です。ジャケットの中にキャミソールの紐がついているので、写真のモデルのように、キャミソールだけを肩に掛けてあとはそのままジャケットの肩を落とせばいいのです。肩から全部ずり落ちる心配もありません。

多彩な工夫がレイヤードの楽しみを深くします。ジャケットは二の腕から袖の先まで開け閉めできるようになっているので、たとえば白シャツと黒ジャケットを着用したモデル写真のように下にシャツやカットソーを着て、横からのぞかせる「袖レイヤード」も組み立てられます。

ノースリーブの白ロングワンピースは一見シンプルな見え具合。ところが、よく見ると、脇にボタンがたくさん施されていて、開けるとスリットになります。プリントのワイドパンツをロングワンピースの下にはくと、モードな着こなしに変身。写真のモデルは上からキーアイテムのジャケット(白)を重ねてスーパーレイヤードに着こなしています。このように1枚で着たときとレイヤードに仕上げたときで表情が全く異なる提案がされています。

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今回の「SERENDIPITY」のブースで私も実際にコーディネートしてみました。キーアイテムとなっているトランスフォームジャケットをビスチェ風に整えてみました。いかがでしょうか? ジャケットの内側にキャミソールがついているので、袖をあえて通さないで、だらりと脇の下に垂らしました。まるでビスチェ。同じジャケットとは思えないトランスフォームです。バイヤーの杉江亜希子さんはアシンメトリー裾のロングシャツワンピースの下にジーンズをレイヤード。首元、手首、サンダルから素足を見せて大人ならではのヌケ感を出しています。

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こんなに斬新な発想を生み出す竹鼻デザイナーとは、どんな人なのでしょう。ご本人からうかがった、アイデアの広げ方、これまでのファッション遍歴、「ヘリテノーム」の持ち味などは、クリエーションのプロセスに迫る手がかりとなってくれそうです。

――インスピレーションの源は?
自分がつちかってきたベースを出発点に、今ならこう着たいという気分を取り入れます。色柄に関しては、旅先にあるような各国・地域で生まれた色柄や、自然界のカラー、アートなどから着想を得ることが多くなっています。ヨーロッパの街行く人の中に見掛ける、その人らしさを感じさせるスタイリングもヒントになっています。

――「ヘリテノーム」のテイストは?
「トラディショナルなスタンダードをベースにしたモード」と言えると思います。私は幼い頃、トラッド系の服や、少しアイビーでボーイッシュな服を着せられていました。その反動があって、女性らしいクラシックモードに惹かれたのかどうかはわかりませんが、私の服作りのテイストのベースには、それらのクラシックモードとマニッシュなトラディショナルがあると思います。そこに少し民族衣装的なエスニックも加わっています。

――ファッションデザイナーを目指したきっかけは?
服好きな母親とよくウィンドーショッピングをしていたこともあって、13歳の頃にココ・シャネルの本を読み、ファッションデザイナーになりたいと思いました。その当時から好きなのは、シャネルのほか、バレンシアガ、イヴ・サンローラン、クリスチャン・ディオールなど、20世紀前半~中頃のモード。それらの美しさに興味があり、アーカイブ写真やスケッチを見ながら、真似してデザイン画を描いていました。

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今回のセレンディピティ期間中に「ヘリテノーム」の商品を3万円以上(税別)、購入すると、ポーチがもらえるという、うれしいプレゼントが用意されています(先着順)。3万円に満たない買い物の場合でも、1点の購入でトートバッグをプレゼントしてもらえるので、3万円以上の場合はポーチとトートバッグがダブルで受け取れます(どちらも数に限りあり)。

今シーズンからデビューという伸び盛りのデザイナーならではの、チャレンジングですがすがしいクリエーションは、着る人の姿までフレッシュでチアフルに見せてくれそう。若いデザイナーを応援するのは気持ちがいいうえ、周りが持っていないので、ちょっとした特別感も味わえます。全体に知的なムードが宿っているから、装いに自然な気品や自立した女性像が感じられるのも、「ヘリテノーム」のよさ。その魅力を確かめに4月のセレンディピティへ足を運んでみてはいかがでしょう。

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