THE UPDATE HIGH QUALITY LINE INTRODUCE FREE PAPER

素材から縫製までこだわりがたくさん詰まった、ガリャルダガランテのモノ作りを伝える連載の第四弾。 「長く愛せるワードローブの定番に」との想いを込めて完成したアイテムを交え、その背景をご紹介してゆきます。

Vol.4 エレガントな空気を纏う、ハンドワーク仕上げのコート

     
  

最高級カシミヤに旬のムードをプラスして

素材はイタリア製カシミアの2重仕立ての生地。落ち感が美しいなめらかな風合いや、単体でも十分暖かな保温性は、最高級の証です。その魅力を最大限に味わっていただけるよう、仕立てにもちょっと特別なこだわりを求め、日本の職人さんの手仕事を取り入れました。すべての縫い代を手でまつり縫いをして仕上げていくという緻密な技術で、一着仕上げるのにはおよそ丸一日かかるという丹念な仕事。それゆえシルエットは肩や腕まわりまでスムースなラインを描き、醸し出す雰囲気もエレガントです。本格的な寒さの訪れさえも待ち遠しくなる、今年だけのとっておき。数量限定でショップにお目見えします。

カシミア ダブルフェイスコート¥130,000(+TAX)

     



左:エレガントな中にも抜け感を演出するフード付きのスタイル。フードにつながる首回りには、ドレープをもたせてボリューミーに。暖かく、リッチな印象を与えます。

右:肩は自然でなだらかなライン。裏地を付けず薄さを保ち、カシミア独特の落ち感や優雅なムードを大事にしています。一枚でも暖かい素材の実力を存分に味わってみてください。

MEMBER
  • トラッドなエッセンスのあるアイテムが得意。
    素材やパターンへのこだわりも強く、シンプルなアイテムでも上品な雰囲気を感じさせるデザインをつくりあげる。

職人さんの心がこもった細やかなテクニックに感激
さらりと羽織れるカーディガンのような着心地のコート。スタート地点で、私たちはそんなイメージを描いていました。そこでたどり着いたのが、日本の職人さんの手仕事なんです。手まつり仕上げは、一刺し一刺し縫い上げる気の遠くなるような作業ですが、それだけ丁寧に作ってあるから、仕上がりの美しさは別格。薄手で暖かいというカシミア生地の特性とその上品な風合いを、存分に引き出すことができたと満足しています。

  • デニムやミリタリーアイテムなどカジュアルラインをメインで担当。
    リアリティとモードを両立させたアイテムバランスがデザインの魅力。
  • 趣味は登山というアクティブさと裏腹に、刺繍やレースなど、手仕事を感じさせる繊細なクリエイションが得意。
High quality. There are background of...
  • 手間ひまかけた日本の手仕事その名は、リバーシブル
  • 今回フィーチャーしたこのテクニックは、専門用語で「リバーシブル」と呼ばれています。裏表どちらも楽しめるあのリバーシブル仕様にも用いられています。2重仕立てのファブリックにのみ有効だそうで、生地を裂くことに始まり、最後はすべての縫い代を手まつりでフィニッシュ。縫い目が表に出ないので、内側は裏地なしでも美しく、表側はとてもスムースな表情に。シルエットも、流れるように優雅なラインを描くのが特徴です。
下準備のプロセスに約10日間長年の経験と勘がものを言う
  • 生地をパターンどおりに裁断し、縫い代をつけ、ガイドラインをマークして…。縫い始めるまでにさまざまな準備を必要とする、リバーシブル仕立て。中でも最大の難関と言われるのが、生地を裂くプロセスです。各パーツをひとつひとつ専用マシンにかけて2枚に裂いていく間、頼りになるのは布から伝わってくる手ごたえのみ。熟練の職人でさえも生地を傷めないために細心の注意を払いながら行っているのです。
ひと目ひと目、気持ちを込めてオール手作業のまつり縫い
  • すべての縫い代を内側に収め、その上をまつり縫いで閉じていくという、気が遠くなるようなハンドワークに勤しむ職人の方々は、さまざまなことを見極めながら針を進めていきます。後々出てくる生地の縮みのことや、縫い代が重なる継ぎ目の部分、そして襟立てなどの立体的なパーツ……。それぞれに合った力を見極めて、手元をコントロール。その微妙なさじ加減こそ、仕上がりの美しさを左右する要因にほかなりません。
スリムな縫い代が醸し出す上品で洗練されたムード
  • 出来上がったコートには、幅わずか4mmほどのごくごく細いシームが走っているのを見て取れます。このラインが細ければ細いほど、印象は繊細かつ、エレガントに。とりわけ、今回のカシミア生地のようなリッチな素材にはもってこいの仕様です。細やかで均一さも見事な技は、日本の職人技ならでは。理想の完成図を求めて、「縫い代を極力細く」という私たちの難しいオーダーを実現してくれた、職人さんたちに感謝です。

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