素材から縫製までこだわりがたくさん詰まった、ガリャルダガランテのモノ作りを伝える連載の第八弾。
「長く愛せるワードローブの定番に」との想いを込めて完成したアイテムを交え、その背景をご紹介してゆきます。
Vol.8 「リネンシャツ」 端正に、モダンに着こなす、今年のリネンシャツ
プレーンすぎず、主張しすぎず。今の気分を表現してくれるシャツ
リネンといえば、洗いざらしでナチュラルに着る素材というイメージが一般的？ このシャツを手にしたなら、そのイメージはきっと変わるはずです。イタリアの『アルビニ』社が手掛けるこのリネン生地は、「ホワイトゴールドリネン」と名付けられていて、特別に細い糸で織られているのが特徴。きめ細かさと、ほどよい透け感、光沢感が特徴で、モダンな品と女性らしさを演出してくれます。そんな素材感をさらに際立たせるために、デザインはミリタリーユニフォームをベースにしつつ、シーンを選ばず着まわしができるように軽やかさを重視。さりげないけど、きちんとしていて印象に残る、都会的なスタイルに仕上げました。
リネンシャツ ￥26,000（＋TAX）
左：ミリタリーユニフォームでおなじみのパッチポケットは、アクセントとしての効果大。透け感のあるナチュラルなリネンに、かちっとしたポケットというバランスも今の気分です。
右：ノルマンディー産の高級リネン糸を使用した「ホワイトゴールドリネン」。エレガントな透け感と光沢感が極上の証。美しい生地の風合いは、洗っても損なわれることはありません。
- トラッドなエッセンスのあるアイテムが得意。
素材やパターンへのこだわりも強く、シンプルなアイテムでも上品な雰囲気を感じさせるデザインをつくりあげる。
毎シーズン人気のシャツ、中でも今年は自信作！
今回はキレイにもカジュアルにも着こなせるバランスを目指していたので、ドレスシャツ専門でも、一般的なデザインされた服を手掛けるでもなく、両方の“いいとこ取り”ができる職人さんを探しました。出来上がりの評判は、シーズンのラインアップを展示会でいち早く目にしたエディターやスタイリストの方々にも上々。白と黒の2色展開で、どちらもそれぞれに支持を集めていました。個人的には、白もいいけど、黒も捨てがたい。黒のリネンから透ける肌には、特別な女性らしさがあると思うんです。
- デニムやミリタリーアイテムなどカジュアルラインをメインで担当。
リアリティとモードを両立させたアイテムバランスがデザインの魅力。
- 趣味は登山というアクティブさと裏腹に、刺繍やレースなど、手仕事を感じさせる繊細なクリエイションが得意。
- シャツ専門メーカーが作るのは、隙のない正統派。一方、デザイン性に富んだアイテムを手掛けているメーカーにオーダーすれば、シャツ本来の持ち味が薄れがちになる……。折り目正しさも、デザイン性も両立したい今回のリネンシャツのプロジェクトは、実は作り手さん探しから始まりました。2つの魅力をバランスよく実現してくださる職人さんに出会うべく、さまざまな工場に試作をお願いし、それぞれの仕上がりを丹念にチェック。そうして探し当てた工場は、秋田にありました。
- この写真は、「巻き縫い」を行っている様子。巻き縫いとは、縫い代の端を内側に巻き込んで、隠してしまう始末を指します。通常ならばロックミシンで処理するだけなので、巻き縫いしてあったなら上等なシャツの証。特にこの工場で作るシャツは、巻き縫いの部分をできるだけ細く目立たないように仕上げていて、針目も繊細。こういった小さな違いが、シャツの佇まいや着たときの印象を大きく左右するのです。
- この工場で働く職人の数は、約60名。ひとりの職人が一着のシャツを初めから終わりまで手掛けるのではなく、各プロセスを細分化し、職人はそのひとつの作業だけに集中するというスタイルを採っています。そのため、縫製の段階ひとつをとっても、襟のエキスパート、ボタンのエキスパート、身頃のエキスパート……と各パートの専任者が。いわば、全員が熟練の技の持ち主。これが、グレードの高い仕上がりを生む秘訣になっています。
- 1876年に創業して以来、最高級の生地を作り続けてきた『アルビニ』社。その信頼は厚く、シャツ生地ブランドの世界ベスト3に数えられているほど。主にメンズのオーダーメイドシャツで支持を集めてきました。『アルビニ』のファブリックの最大の魅力は、生地そのものが醸し出す上品な風情にあり、今回の「ホワイトゴールドリネン」もまた然り。マニアックな知識は不要、目で見てクオリティの高さを納得させる魅力を持っています。
