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RIE MIYATA

映画『バツイチは恋のはじまり』の衣装が語りかける「私らしいおしゃれ」

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(c)2012 SPLENDIDO QUAD CINEMA / TF1 FILMS PRODUCTION / SCOPE PICTURES / LES PRODUCTIONS DU CH’TIMI / CHAOCRP DISTRIBUTION / YEARDAWN

こんにちは。ファッションジャーナリストの宮田理江です。

「シャネル」のミューズとして知られた女優ダイアン・クルーガーがラブコメディに初主演したことでも話題を呼んだ映画『バツイチは恋のはじまり』が9月20日に公開されます。やや挑発的なタイトルですが、「フランス映画祭2014」で最高賞の「観客賞」を受賞した上質のフランス製ラブコメディです。ファッションアイコンのクルーガーが主演しているだけに、映画の随所に彼女のおしゃれな姿が描かれ、その着こなし自体がストーリーの一部となっています。

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(c)2012 SPLENDIDO QUAD CINEMA / TF1 FILMS PRODUCTION / SCOPE PICTURES / LES PRODUCTIONS DU CH’TIMI / CHAOCRP DISTRIBUTION / YEARDAWN

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(c)2012 SPLENDIDO QUAD CINEMA / TF1 FILMS PRODUCTION / SCOPE PICTURES / LES PRODUCTIONS DU CH’TIMI / CHAOCRP DISTRIBUTION / YEARDAWN

「最初の結婚は失敗する」。一族に代々伝わるこんなジンクスのせいで、ヒロインの歯科医師イザベル(ダイアン・クルーガー)は、パリで同棲中の彼氏ピエールとの結婚を控えて、どうにも落ち着かない。こんなに愛している彼との結婚生活がジンクスのせいで壊れてしまったら、どうしよう。ウエディングが迫り切羽詰まったイザベルが思いついたのは、別の誰かといったん結婚して、このジンクスを帳消しにしてしまうことだった。

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(c)2012 SPLENDIDO QUAD CINEMA / TF1 FILMS PRODUCTION / SCOPE PICTURES / LES PRODUCTIONS DU CH’TIMI / CHAOCRP DISTRIBUTION / YEARDAWN

その「とりあえず婚」の相手に選ばれたのが、旅行雑誌編集者のジャン=イヴ(ダニー・ブーン)。本命の彼氏が別にいるイザベルはジャンを口説いてその気にさせる。でも、実際の腹づもりは「とっとと結婚してさっさと離婚」。成り行きでジャン=イヴの世界半周旅行に同行する羽目になったイザベル。旅先では想定外のトラブル続き。でも、ジャン=イヴはどんな出来事も笑顔で自然に受け入れる。理想のパートナーとは全然違うキャラクターだったジャン=イヴなのに、イザベルはいつしか彼に惹かれ始めた自分に気づく。

最初はジャン=イヴを軽く見ていたイザベルですが、彼の人柄に深く触れるにつれ、徐々に彼を見る目が変わっていきます。その心境の変化に歩調を合わせるかのように、イザベルの装いや振る舞いにも変化が表れるようになります。ファッションは自分を表現する手段ですが、自分が気づかないうちに内面を映し出していることも珍しくありません。この映画では彼女の気持ちを代弁するかのような着こなしも見どころとなっています。

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(c)2012 SPLENDIDO QUAD CINEMA / TF1 FILMS PRODUCTION / SCOPE PICTURES / LES PRODUCTIONS DU CH’TIMI / CHAOCRP DISTRIBUTION / YEARDAWN

もともと歯科医師でエリートのイザベルですが、ジャン=イヴに出会った当初はやや自分勝手なところが目に付きます。たかがジンクスのせいで、ジャン=イヴを振り回して、本命彼氏との結婚の露払いに使い捨てしようと考えるあたりにも、彼女の上から目線が感じ取れます。でも、何事にも自然体で臨むジャン=イヴを間近で見るうちに、気張っていた彼女の角が取れて、自分らしい生き方を意識するようになっていきます。

その心理的な変化と連動して、イザベルのファッションに彼女らしさも寄り添うように。おしゃれでは自分らしい「スタイル」を見つけることが大切とされますが、実際にはなかなか難しいところがあります。それは内面の成熟と表裏の関係にあるからかも知れません。最初のうちは仕事にもパートナー像にも完璧さを求めていたイザベルですが、ジャン=イヴのおかげで徐々に力みが薄れ、笑顔が増えていきます。

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(c)2012 SPLENDIDO QUAD CINEMA / TF1 FILMS PRODUCTION / SCOPE PICTURES / LES PRODUCTIONS DU CH’TIMI / CHAOCRP DISTRIBUTION / YEARDAWN

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(c)2012 SPLENDIDO QUAD CINEMA / TF1 FILMS PRODUCTION / SCOPE PICTURES / LES PRODUCTIONS DU CH’TIMI / CHAOCRP DISTRIBUTION / YEARDAWN

ジャン=イヴと出会ってからは着こなしもリラクシングなニットや気取らないアウターなどが目に付くようになっていきます。2014-15年秋冬のトレンドでは、ニットがクローズアップされています。これまではカーディガンやセーターのイメージが強かったのですが、今季はアウターにもニットが用いられるほど。コートもビッグシルエットが脚光を浴びています。肩をラウンドに包むケープやポンチョも、朗らかな着姿を目に残す点があらためて評価されて人気が復活。着丈の長いチェスターフィールドコートでロング&リーンな着姿に仕上げたり、ファーでボリュームを強調したりといった「主張アウター」が今季の新スタイリングの主役となりそうです。

イザベルが着用していたほっこりした表情が持ち味のムートン系アウターは世界的な注目アイテムのひとつ。襟周りや袖先などを分厚く毛羽立たせた起毛加工(シャーリング)を施して、もこもこ感を強めたムートンはお目立ち感もたっぷり。見るからにぬくもりを感じさせるうえ、キャラクターまでソフトで穏やかに演出してくれるので、とりわけ関心が集まっています。

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(c)2012 SPLENDIDO QUAD CINEMA / TF1 FILMS PRODUCTION / SCOPE PICTURES / LES PRODUCTIONS DU CH’TIMI / CHAOCRP DISTRIBUTION / YEARDAWN

映画では時としておしゃれがもう1人の主人公となって、物語に奥行きを与えます。映画スタッフの中でもコスチューム担当は脚本に沿った人物表現の一翼を担う極めて重要な仕事とされます。登場人物の立場や性格、心理などを写し取るファッションに注意して映画を見ると、台詞では語られない「もう1本のシナリオ」を味わうこともできるはずです。

『バツイチは恋のはじまり』
http://www.batsu-koi.com/
2014年9月20日(土)
ヒューマントラストシネマ有楽町ほか公開
(c)2012 SPLENDIDO QUAD CINEMA / TF1 FILMS PRODUCTION / SCOPE PICTURES / LES PRODUCTIONS DU CH’TIMI / CHAOCRP DISTRIBUTION / YEARDAWN

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