素材から縫製までこだわりがたくさん詰まった、ガリャルダガランテのモノ作りを伝える連載の第三弾。
「長く愛せるワードローブの定番に」との想いを込めて完成したアイテムを交え、その背景をご紹介してゆきます。
Vol.4 エレガントな空気を纏う、ハンドワーク仕上げのコート


最高級カシミヤに旬のムードをプラスして
ほのかに光沢感のあるシャンブレー生地のチェスターコートの下に、贅沢なメリノムートンのフード付きコートを忍ばせて…。重ねて着るのはもちろんのこと、それぞれ一枚でもサマになる、3WAYの優秀コートができあがりました。ゆったりめに作ったトップのチェスターコートは、今買ってすぐに活躍する軽めの素材感も魅力的。下に重ねたムートンコートは、袖の部分にだけゴートレザーを採用し、フードにはボリューミーなラクーンのファーをあしらっています。3素材のコンビネーションというのも、ほかにはないガリャルダガランテならではの個性。このコートが1着あるだけで、着こなしの幅が広がること間違いなしです。
レイヤードムートンコート¥210,000(+TAX)

左:リアルにデイリーに着て欲しいから、フードのファーにはラクーンをセレクト。ゴージャスになりすぎないカジュアル感があって、フェミニンな柔らかさも併せ持つ素材です。
右:ムートンコートは、一着でも申し分なしの防寒性。表面には表革のようなつや工を施し、スエード特有の素朴なムードをオフ。今年らしい、クールな表情に仕上げました。

- デニムやミリタリーアイテムなどカジュアルラインをメインで担当。
リアリティとモードを両立させたアイテムバランスがデザインの魅力。
パーカーを重ねたようなリッチなカジュアル感を楽しんで
チェスターコートからパーカーのフードを覗かせた、あの抜け感のあるスタイルがかわいい。そんな思いから、このコートは生まれたんです。フードでカジュアルな雰囲気を出しつつ、実はとびきりリッチな素材が内側にあるという、心ときめく意外性もプラスできたらと考えました。そこで白羽の矢を立てたのが、最高級と名高いスペイン産メリノムートン。保温性に優れていながら、薄手で軽く動きやすい。虜になってしまう柔らかさも魅力ですね。

- トラッドなエッセンスのあるアイテムが得意。
素材やパターンへのこだわりも強く、シンプルなアイテムでも上品な雰囲気を感じさせるデザインをつくりあげる。

- 趣味は登山というアクティブさと裏腹に、刺繍やレースなど、手仕事を感じさせる繊細なクリエイションが得意。

- 防寒インナー付きのアウターは数あれど、インナーが独立して活躍するタイプはなかなかないはず。このムートンコートは、真冬に一枚でも着こなせる暖かさだから、デザインや配色にもこだわって作りました。身頃のシルエットは直線的で、肩まわりはほんの少しコンパクトに。ニットなどの上に着てもすっきりと見えるバランスを吟味してあります。チェスターコート単品でも大活躍してくれるので、秋冬から春先まで長く着られるのもポイントです。

- レザーと言えば、今も昔もスペイン産が世界のナンバーワン。ムートンも例外ではありません。実は牧羊の発祥地でもあるスペイン。それゆえ羊そのもの質が高く、レザーを扱うノウハウも確かなもの。長い年月の中で培われたさまざまな技術が、この国に結集しているのです。さて、スペインで買い付けたムートンは、色や質感を加工するためにトルコへ。一流の職人のもとへと運ばれて、色や風合いが磨かれていきます。

- ガリャルダガランテが今回ムートンのために指名したカラーは、シックなグレージュです。発色の良し悪しは染色を担当するタンナーの腕次第で、グレージュのような中間色なら、なおさらのこと。このトルコのタンナーは、贔屓にしているハイブランドも数多い、ヨーロッパ的センスの持ち主。優れた色彩感覚を持つイタリア人の染色師によるカラーバリエーションは、レザーのトレンドを決める指標にもなっています。

- ムートンにはスエードと羊毛のそれぞれの面がありますが、品質の判断においては第一に肌触りの良さ、つまり毛の柔らかさに重きが置かれます。そして、薄さやスエード面のきめの細かさ。このコートに使用するムートンは、もこもこと厚着をしているような印象を与えず、上品なムードでシルエットもきれいに出るものが理想的。その条件を満たした素材に、さらにナッパラン加工を施し、スエードをよりスムースに仕上げています。