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素材から縫製までこだわりがたくさん詰まった、ガリャルダガランテのモノ作りを伝える連載の第十弾。「長く愛せるワードローブの定番に」と想いを込たアイテムを、素敵なゲストとともに紹介します。

Vol.9 「ホールガーメントのモヘヤニット」

岩崎 KaoRiさん、今日はどうぞよろしくお願いいたします。お会いするのを楽しみにしていました。

KaoRi どうぞよろしくお願いいたします。

岩崎 踊ってらっしゃる姿を拝見しておりましたが、とてもきれいでため息をついていたところです。ダンスを始めたのはいつなんですか?

KaoRi 物心つく前から踊るのが好きな子供だったようで親がバレエのレッスンを受けさせるようになったのが最初です。本格的に打ち込むようになったのは、海外の学校に通い始めた時ですね。

岩崎 KaoRiさんのことは、荒木経惟さんの写真に登場する女性というイメージを強く持っていらっしゃる方も多いと思います。

モデルを務めるようになったきっかけは?

KaoRi パリにいたころ、芸術家の方などと自然に出会う機会が多く、その中で巡り巡って気づいたら…という感じです。荒木さんにも、そんなふうに友達を介して紹介していただいたのが始まりですね。荒木さんの被写体になって、もう15年になります。

岩崎 15年もですか!

KaoRi はい。今年は、来年春にパリで行われるギメ東洋美術館での展覧会のために、毎月着物の撮影を行っています。

岩崎 楽しみです! 私も見に行きたいです。

岩崎 ところで本日は、届いたばかりの新作アウターを持って参りました。

KaoRi ムートンのコートですか? すごく柔らかそう。

岩崎 そうなんです。今季のラインアップの中でも特に贅沢なアイテムなので、素材にはこだわりました。このムートンはスペイン産なんです。スペインはレザーの生産に強い国で、クオリティもトップレベル。私たちは毎シーズンさまざまな国の素材を手に取りますが、スペインのムートンは表面のキメが細かくて質感もスムース。そのため着た時の印象をエレガントに見せれくれるんです。

KaoRi 風合いで印象も変わるんですね。確かに、実際の手触りもしなやかで気持ちいい。

岩崎 そうですね。革そのものが薄いから、女性が着こなすにはいちばん理想的。ムートンはボリュームがある素材だけに、シルエットがモタっとしてしまう場合もあるので、革の厚みも侮れません。

それに、何より軽いですしね。

KaoRi 冬のアウターにとって、軽さは大事ですよね。体の動きをできるだけ妨げないものがいい。私自身、普段着るものに関しては、素材と着心地のよさを重視して選ぶことが多いです。

岩崎 ダンサーの方ってレオタードのイメージが強いので、普段のファッションのお話となると興味津々です。KaoRiさんはどんな服が好みなんですか?

KaoRi 夏には季節柄いろんな色を楽しむのが好きなので、秋から冬にかけてはシックな雰囲気が恋しくなります。それから、数がたくさんあると迷ってしまう性格というのもあって、自分の定番と呼べるアイテムがいくつかあるんです。例えば、白い丸襟のブラウスや黒のスカート、ボレロなど……。そういった服をベースに、季節やその時々の気分で、バッグや小物などを買い足して楽しんでいます。 

岩崎 ご自身のスタイルがはっきりしているんですね。そういったセンスは海外に住んでいたことも影響しているのですか?

KaoRi 無意識にそういうこともあるのかもしれないですね。ただ、私の中には、それぞれの都市によって印象に残っている色というのがあると思います。NYなら晴れた日の空の青がきれいだったことを思い出します。

岩崎 パリはどうですか?

KaoRi パリのイメージは街並みのグレーですね。同時に、バレエのレオタードのサーモンピンクやベージュのように、淡くて美しいニュアンスカラーもまた、ヨーロッパならではのものだと思います。

岩崎 ヨーロッパの色彩感覚は、本当にレベルが高いですよね。私

も生地や素材を目にすると、日本では手に入らないトーンの色が見つかるなと感じます。例えば、同じピンクだとしても、ニュアンスが全然違っていたり。今回のムートンコートも、ヨーロッパ風のシックなグレージュを選びました。KaoRiさん、羽織ってみませんか?

KaoRi いいですか? ……わ、シルエットはケープのようですね。リバーシブルで使えるなんてすごい!

岩崎 袖が短めなので、ロンググローブとのコーディネートも決まりますよ。そうすると、今の印象からさらにドレッシーになるので、そういったスタイリングにも是非トライしていただきたいですね。

KaoRi さらっと羽織ることができるこの着心地も素敵です。おしゃれにも普段着としても、活躍しそうですね。

オケージョンに応じた魅力を放つ本命コート

デイリーにはもちろん、ドレスアップの機会にも活躍する守備範囲の広さは、リッチなムートンコートならでは。
スモーキーなニュアンスのあるグレージュはどんな肌のトーンにも相性がよく、同時にノーブルな印象を与えるカラーです。
スエードとファーの風合いのコントラストが、落ち着いたムードにリズムをプラスします。リバーシブル仕様。

ムートンコート ¥210,000(+TAX)

暖かいことが最大の魅力であるムートンの魅力はそのままに、あくまでシックに品よく。そんな条件を満たす、スペイン産のメリノムートンに着目しました。ほどよい厚みと風合いの良さが決め手です。

裾にかけてほんの少し広がりのあるシルエットに、両サイドにはスリットが。どこかケープにも似た、今年らしいデザインです。袖は七分丈で軽やか。ロンググローブをコーディネートすれば、よりドレッシーに。

KaoRi(かおり)
下北沢「フリーダ・ボディメイク・スタジオ」代表。幼少の頃から踊りに親しみ、15歳の頃の短期留学を皮切りに、ローザンヌやパリの学校でバレエを学ぶ。その後、ニューヨークへ渡り、コンテンポラリーダンスの道へ。名門「マーサ・グラハム・スクール」を経てフリーランスダンサーとしてパリで活躍。現在はダンサーとしてのみならず、振付師、講師として関わるプロジェクトも多い。また、モデルとしても、クリエイティブなフィールドから熱い注目を集めている。http://sakuramochi-kaori.blogspot.jp/



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